ひきこもり支援に、心理カウンセリングは大きな力を発揮します。
困っている人はすぐに答えを知りたいものですが、カウンセラーはなかなか教えてくれません。答えは人から与えられるものではなく、自分自身が見いだすものです。
不安、恐れ、悲しみ、怒りなどマイナスな気持ちは人を動けなくします。経験豊富なカウンセラーは、その気持ちを安全に引き出してくれます。気持ちが整理されると、今までできなかったことが自然にできるようになります。
Aさんは、ひきこもっている息子にカウンセリングを受けてほしいと願っていますが、心を閉ざしているので無理です。仕方なく母親であるAさん自身が受けました。複雑な思いを語って心が浄化されると、夫や息子に自分の気持ちを伝えることができました。すると夫が動き出し、息子も変わっていきました。感情の世界を扱うカウンセリングは信じない人というも多くいます。感情表出に違和感を抱く人は仕事や公共の場で理性的な会話はできても、家族や親密な間柄で気持ちの交流ができません。そのような人こそカウンセリングが効果的です。
相手の気持ちは変えられません。変えられるのは自分だけです。自分が変わろうとする勇気は相手を動かし、自らも変わる勇気を与えます。
カウンセリングは医療機関、学校、会社などで受けることができます。民間のカウンセリング機関も増えてきました。地域の保健所や都道府県に設置された精神保健福祉センターでは、ひきこもりのカウンセリングも受け付けています。
心理カウンセリングは社会的ニーズがあっても、誰でも気軽に利用できるほど行き届いていません。医師や看護師などの国家資格は古くから制度化されていますが、公認心理師は、ごく最近制度化されました。学校の養護教諭は常勤ですが、学校カウンセラーは非常勤です。今後、全ての学校や中規模以上の企業に心理カウンセラーの常勤配備が求められます。