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ひきこもり連載(8)医療者

2021年02月22日

 公明新聞 2021.2.11.

医療者
よく聴き理解してくれる人を

ひきこもり支援に、医療は大きな力を発揮します。

気持ちが不安定な時や落ち込んでいる時、あるいは不安で眠れない時などに精神科の薬は効果を発揮します。薬は習慣性や副作用があるから使いたくないと考える人も多いのですが、少量を適切に利用し、その効能をよく理解して上手に付き合うことが大切です。

ただ、薬の力だけではひきこもりの根本解決には至りません。大切なことは、家族や身近な人々の理解と環境調整、社会的なサポート、そして本人の気持ちの整理です。

診療科は精神科や心療内科がよいでしょう。ただし、ひきこもりや若い年代の診療に慣れていない医師もいますので、事前に問い合わせるなどよく調べるとよいです。話をよく聞かず、丁寧な説明がないまま、やみくもに薬を処方するだけの医師は避けた方がよいでしょう。心の病気は検査などの客観的なエビデンスが乏しく、医師の経験に基づく主観に頼らざるを得ません。診断する医師によって病名や処方される薬が異なることがよくあります。納得するためにセカンドオピニオンを求めるのもよいことです。よく聴いて理解してくれているという実感を持てる医療者を見つけてください。心の治療にとって、医療者との信頼関係がとても大切です。

 厚生労働省は、ひきこもりに特化した相談窓口として「ひきこもり支援相談センター」を全国70カ所余りに指定しています。地域の支援施設や医療機関の紹介、来所や電話による相談、家から出られない場合は訪問相談にも応じてくれます。

ひと昔前までは専門家としての医師の言葉をそのまま受け取る風潮でしたが、今は違います。インフォームド・チョイス、つまり利用者とその家族が病気や治療薬についてよく説明を受け、希望する医療を自ら選択し、納得して受ける姿勢が回復の近道になります。