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ひきこもり連載(6)家族の力で回復

2021年02月01日
 公明新聞 2021.1.28.
家族の力で回復
勇気を出し本音で語り合う

ひきこもりは家族の力で回復できます。
 海斗くん(仮名)は地域で一番の高校に進学しましたが、優秀な仲間たちに入れず体調を崩し、不登校になりました。カウンセラーから、親は口出しせず本人に任せるよう指導され、学校のことは一切触れないできました。半年たっても変化がないので、母親が私のところに相談に来ました。
 家族が協力しなければいけないと頭では分かっていますが、母親はどうしてもできません。10年前の夫の浮気がきっかけで、本音で話し合えなくなっていました。このことも誰にも言えず、先生ならと、苦しい気持ちを初めて言葉にしました。
 2回目の相談には夫婦で来訪。初めて息子の不登校に向き合うことができました。父親は海斗くんのことが心配で、仕事も手につかないと言います。母親はびっくりしました。夫は家族のことなど全く念頭にないと思っていたからです。
 3回目の相談には海斗くんと両親の3人でやってきました。父親が初めて海斗くんと話し合えました。海斗くんは今の高校には行きたくないけれど、一人で勉強して高卒認定試験を受けるつもりだと言います。それを聞いて両親はびっくりしました。家にひきこもり、ゲームしかしていない海斗くんは将来のことなど何も考えていないと思っていたからです。
 その翌週、海斗くんは何事もなかったかのように登校し始めました。「うちの家族は傷つくことを恐れ、お互いに言いたことを言えなかったのだと思います」。母親はしみじみと語りました。
 家族の勇気が海斗くんを救いました。母親は封印してきた気持ちを信頼できる人に語り、夫と向き合う勇気を得ました。妻に支えられた父親は息子と向き合う勇気を得ました。海斗くんは家族の勇気に支えられ、学校の仲間たちと向き合う勇気を得ました。
<編集部より>本連載で扱ってほしいテーマをkyousen@komei.jpにお寄せください。