2021年01月21日
ひきこもり:求められる支援(2)
公明新聞 2020.12.24
誤解
「ゲームが原因」「楽しんでいる」など
ひきこもっている次郎さん(仮名)は家族を避け、夜中に起きてゲームばかりしています。
このような社会的ひきこもりが受ける誤解について説明します。
誤解その1:インターネットやゲームが原因である。
確かに一日中ゲームばかりやっている姿は、依存症と言えます。しかしそれは結果に過ぎず、原因ではありません。お酒や薬物、ギャンブルなど依存症の本質は、生活に適応できず、居場所を失っていることです。苦しみを忘れるために、刹那的な安らぎを与えてくれる世界に依存します。決してゲームにやりがいを見いだし、楽しんでいるわけではありません。
誤解その2:自分のことを何も考えていない。
一見何も考えていないように見えますが、心の底では苦しみ、戸惑っています。自分でも、どうにかしないといけないことは分かっています。しかし、そのことを考えるのはあまりにつらいので、苦しみを避け、心が壊れることを守っています。
誤解その3:ひきこもって楽をしている。
確かに現実に向き合わず、怠けているように見えます。しかし、決して楽をしたいから、ひきこもっているわけではありません。実際はその逆です。今の状況から抜け出さないといけない、周りに迷惑をかけていることはよく分かっています。
誤解その4:社会の人々との関わりを拒否している。
確かに就業や就労、友人関係、支援者など、人と関わりを拒みます。支援の場を提供しても、そこに関わることができないのが、ひきこもり支援の困難さです。本人としても人と関わらなければ生きていけないということは十分に分かっていますが、他者が自分のことをどう見ているか、自分のことを否定しているかもしれないという大きな不安があります。
このような心情の人がどのように安心して人とつながっていけるか。それがひきこもり脱出の重要な鍵になります。