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家族療法教室(2):家庭内暴力と祖父母の役割

2020年12月02日
2020.11.28.(土)
事例から学ぶ家族療法教室2では、家庭内暴力の親子と祖父母の役割というテーマで、私が関わった家族事例を紹介しました。
その事例についてもブログで紹介したいと思いますが(書くのに時間がかかるので)、とりあえず参加者からのフィードバックを紹介します。
 
関係性の世代間伝達のお話、とても印象的で、事例を通してお話頂き、納得出来ました。
自分自身の家族との関係性についても改めて振り返るきっかけとなりました。
子どもに問題があって、その子を何とかしたいと思ってしまいがちですが、実は関係性の問題なのですね。自分自身の不安や葛藤を無意識のうちに全てその子のせいにしてしまっているのですね。
私の原家族における関係性の問題が昨日のお話でクリアになりました。
(私がクリアになっても仕方ないですが(注1)
頭では分かっていても、とっさの時には本能的に反応が出てしまうものですね。
その辺り、すぐにはどうにもならないかもしれませんが、自分でわかっているのと、そうでないのはだいぶ違うのかなと思いました。関係性が、変わっていけるような気付きのきっかけと、自分で気づくことが大事なのかなと思います(注2)。
不安が解消されることで人と繋がれる安心感を得られて関係性が変わるお話(注3)、亡くなった後でも繋がれるお話(注4)、心がほぐれるようなお話がたくさん聴けて。暖かい気持ちになれました。

注1)いえいえ。支援者が自身の家族の当事者性に向き合い、クリアすることは、支援者性を発揮するうえでとても大切なことですよ。

注2)「自分で気づく」のは精神分析療法や認知行動療法の考え方です。家族療法ではそこをさらに一歩推し進め、実際の関係性の中でそれを変えちゃうわけです。自分で気づかなくても構いません。
事例のお母さんが娘との関係と、実家の親との関係の相似形に「気づく」のも有用ですが、今回は、実際に声をかけて診察室に呼び、一緒に住むことになりました。心の中だけでなく実生活の変容まで行ってしまうのが家族療法の醍醐味です。家族システムが変容すれば、IPの主訴・問題行動も自然に解決します。

注3)人とつながることは両刃の剣です。プラスに繋がれば安心して幸福をもたらし、マイナスに繋がれば傷つき不幸をもたらします。その典型例が家族関係ですね。安心して繋がる中継ぎをするのが家族療法家です。

注4)亡くなった人と現物で繋がることはできませんが、心のなかで繋がることはできます。

祖母-母親-K子と,女系の葛藤が表面化していましたが,この関係性に祖父はどんな影響を与えていたのか,気になりながら話を聞いていました。家族面接の際にも,祖父にどんな役割を担ってもらうのかも知りたいと思いました。

今回は女系の流れを強調しましたが、祖父-母親関係も同様です。祖父母の夫婦関係はうまくいっています。母親にとっては両親を含めた実家(family of origin)からの自立と再構築が課題でした。

今日のお話ですが、母子間の世代間葛藤というのは、(自分も当事者でもあり)日常的に出会うケースの話でもよくある話です。
それだけに、解決は面倒だな、いわゆる纏綿状態っていうのになってるのでは?
先生はどうやってほどかれるの?
と思っていたので正直なところ、
「え?それだけ?」って思ってしまった部分もありました(注5)。
でも、いろんな方の質問を通してむしろ理解が深まったと思っているのですが、つまりこのケースは先生の関わりでピンチをチャンスに替えることができたということですね。
むしろ、それだけの大きな出来事だったからこそ、長年絡み合っていたものがほぐれるきっかけを作ったというか。
そして、それぞれにそのきっかけを作れるレジリアンスがあったのだなと思いました。

注5)はい、それだけなんですよ(笑)。
当事者性の中で整理・解決されていない部分は、支援者として援助するとき、とても厄介で面倒と感じます。
当事者としての体験が整理されていれば、肩の力を抜いて、難なく支援できます。