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家族療法教室(1):患者さんを好きになること

2020年10月28日
10月24日の第一回家族療法教室には、
オンサイト(高山村)での参加が5名
オンライン(zoom)での参加者が20名ほどでした。 

内容は次のとおりでした。
家族療法の仮説の立て方を医学モデル、個人心理療法のモデルと対比しました。表にして説明すれば単純なことなのですが、個人中心の支援を行ってきた人にとって「関係性モデル」に発想を転換することが案外むずかしいものです。逆に言えば、モノの見方さえ切り替えることができれば、関係性モデルはごく自然なわかりやすい見方だと思います。本人と面談しないで​ゲーム中毒とひきこもり​が解決したケースの治療過程を紹介しました。実例の具体的な様子をご紹介して、なぜ私がそのように関わったかを解題(タネ明かし)します。構造派モデル(structural model)から、家族システムへのジョイニング、世代間境界、関係性の捉え方などを講義しました。構造派モデルは第1世代の家族療法です。第2世代の考え方が主流になっている現在でも、これらは家族を理解する重要な概念として押さえておくべき基本です。
参加者からの振り返りを紹介します。

昨日の家族療法教室ありがとうございました。
具体的事例とともに家族療法についての基本的な考え方などがお聞きできて、ああ、そういうことなのね!と、事例を通して考えられてとても理解しやすかったです。
世界各国、家族にしろ、組織にしろ、抱える問題や躓くポイントって同じなんだなあと、人間だから当たり前なのかもしれませんが、改めて考えることができました。
多様性・多様性といいますが、安全な場で対話し、お互いのことを分かり合えるような場を作っていくこと、これができれば多様性の先には、人間ってみんな分かり合えるよね。ということに落ち着くのではないかななんて思いました。言葉て書いてしまうととてもシンプルですが、その簡単かもしれないことが、これからますます難しく、意識してシステムをメンテナンスしていく作業が必要なんだろうなあとぼんやり考えました。
また、一人づつとの信頼関係を丁寧に構築して、じっくりとシステムが変わっていくための支援をする具体的なプロセスを伺えて、さらに理解が深まりました。
最終的に、どれだけその人のことに興味をもって好きになれるか、というお話も、実践の中からのリアルなお気持ちなんだろうなあと思って、お聞きできて一番印象的だったかもしれません。

確かにこれは私の方であらかじめ用意した言葉ではなく、>
家族療法で大切にしている関係性とは契約的・理性的な関係ではなく、情緒的・感性的な関係です。クライエントを取り巻く日常の関係性を支援するためには、セラピストとクライエントとの間にも情緒的・感性的な関係性が築かれることが大切です。さまざまな問題を抱えてやってきたクライエントの話を聴いて、その人のことをもっと知りたいなと思い、それに応じてクライエントもリアルな気持ちを話してくれる時、なんとなく情緒的な関係性が築けているのだろうなと感じます。このことをクライエントに尋ねるわけにいきませんから、あくまでセラピスト側の思い込みなのですが。
その人に興味を持つとか、好きになるとか、愛するとか、もとをただせばすべて思い込み(その人の根拠のない主観的な感情)なのです。そこを出発点として関係性が築かれていきます。
ネットを介した家族療法教室でも、このことが一番印象的だったとフィードバックしてくれることは、理性の学びだけでなく、感性的な体験も得られたように感じました。