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逆境を乗り越える家族の底力(レジリエンス)

2020年05月07日
新型コロナウィルスに感染する不安。自分が感染する不安と、気づかないうちに人にうつしてしまう不安。これがいつまで続くのかわからない不安。外出自粛。収入の減少・失業。慣れないテレワーク。学校の休校。家族が一緒にいる時間が増え、お互いのイライラをぶつけたり、喧嘩したり、暴力(DVや虐待)になりかねない不安。いま現在、我々は多くの不安とストレスに晒されています。
外出できず、家族が今まで以上に多く接するようになり、それがストレスを生むことがあります。
この状況の中で、我々はどう生きれば良いのでしょうか。
どうやって乗り越えることができるのでしょうか。

それを考える上で「家族のレジリエンス」という考え方が役に立ちます。
レジリエンスとは、日本語に訳しにくいのですが、
逆境を乗り越える力、困難を跳ね返す力
という意味です。
とても大きなストレスに晒され、多くの人は参ってしまう中で、なぜかそれに耐え、生き延びる力を持っている人がいます。
例えば、
ベトナム戦争をくぐり抜けた戦士
大震災で多くの大切なものを失った被災者
第二次世界大戦下、ナチスの強制収容所で想像を絶する過酷な生活を生き延びた心理学者ヴィクトール・E・フランクルはその体験を名著「夜と霧」に綴っています。
今の我々の状況もそれに似ています。

逆境を乗り越える力は、個々の個人に備わっていると同時に、家族システムにも備わっています。それが家族レジリエンスです。
家族は付かず離れずが良いと言われます。
離れすぎると寂しいですが、近すぎ過ぎても厄介です。
大人と子供、女性と男性。みな考え方も、やり方も異なりますから、お互いの距離が近すぎるとストレスになります。

今の状況はヤマアラシのジレンマに似ています。
ヤマアラシは身体中にトゲを持っています。親密さを求めて近づこうとすると相手を傷つけてしまいます。近づくことも、離れることもできません。

家族が近づいても、うまくやっていける術を身につければ、今回の体験がとても良い家族を作るチャンスになります。それがうまくいかないと、家族がお互いのストレスをぶつけ合い、崩壊してしまうかもしれません。
ピンチはチャンスでもあります。
良い方向にも、悪い方向にも変化しうる、分水嶺とも言えましょう。
危機によって家族が潰れてしまう場合もあるし、
危機によって、新たな家族のあり方を獲得し、困難な状況でも協力して乗り越えられる強い家族システムに成長できる場合もあります。

家族それぞれがストレス、イライラを抱え、
家族が一緒にいる時間が増え、家族関係が濃密な状況

それを乗り越えるため、何ができるのでしょうか?
外は危険な世界になってしまいましたから、家族が安全な場所、安心できる場所にすることが大切です。
そのために、次のことをお勧めします。

1)お互いに言葉を交わしましょう。
コミュニケーションはとても大切です。
ということは理屈ではわかっても、なかなかうまくいかないものです。
言いたいことが相手にうまく伝わらなかったり、お互いに気分を害してしまったり。
それなら、面倒だから伝えるのをやめてしまおう、、、それが一番良くありません。
多少の喧嘩や言い争いは必要です。
ストレスは小出しにしましょう。コントロールできる範囲なら構いません。
我慢して、我慢して、我慢しきれなくなって出すと爆発してしまいます。自分の感情をコントロールできなくなるのが一番良くありません。

2)言いにくいことも、勇気を出して伝えましょう。
本当は、こんなこと言いたくない。。。
自分が恥ずかしくなる
相手を傷つけてしまうかもしれない
ちゃんと相手と向き合い、本音を伝えることは、とても勇気がいります。
相手を信頼したい、一緒の家族でいたい。そういう気持ちがあるのなら、伝えることがとても大切です。

3)相手の立場を尊重し、自分の立場をわかりやすいように伝えましょう。
感情的になってはいけません。キレてはいけません。
気持ちを落ち着けて、相手のことを大切に思っているからこそ伝えているんだよということを、ゆっくり丁寧に伝えましょう。

普段は他のことで忙しく、ここまで向き合う時間が取れないとしたら、
家族と一緒にいる時間が取れる今がチャンスです。
ぜひ、実行してみてください。