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カウンセリングはお芋掘り

2020年04月17日
カウンセリングはお芋掘りに似ています。

苦悩や心の問題の正体はどうなっているのでしょうか?
どこに由来しているのでしょうか?
現在の体験や過去の記憶を掘り起こしていきます。
それはあまり心地良くない部分なので、地面の中に隠して、表層に出てこないようにしています。
ひとりでは難しい芋掘りを、カウンセラーは対話によって掘り下げていきます。
一体どこを掘れば良いのでしょう?
どこに焦点を合わせれば良いのでしょうか?

カウンセラーは経験から、大体この辺りかもしれないと見当をつけることはできます。
しかし、そこに本当におイモが隠されているかは、掘ってみないとわかりません。

先生は、どうしてそこに焦点を合わせるのですか?そのおイモは今の悩みとはあまり関係ないと思います。まだクライエントの全体像が見えてないのに、そこに焦点を合わせて彫り進めて良いのでしょうか?
などと弟子たちは尋ねます。
イモ掘りの名人は、ほんのわずか地表に顔を出した兆しと長年の経験から、うまい具合におイモが隠れている場所を見出します。
カウンセリングの名人も、この辺りが焦点かなと見当をつけることはできますが、本当にそこにおイモが隠されているか、掘ってみないとわかりません。
予想が外れることもあります。そしたらもう一度初めからやり直します。

幸い、おイモを掘り当てました!!
良かった!
しかし、それをほりだそうとすると、地下茎でさらに深いおイモに繋がっていることがよくあります。
そう、人の営みの全体像はとても広く複雑です。
今まで見えなかった深いところをさらに彫り進めてゆきます。

1)カウンセリングを進めながら、何度も仮説を立て直します。
初めから正確なアセスメントはできません。
初期段階で見える限られた情報から、とりあえずの暫定的な仮説を立てます。
それ念頭に対話を掘り下げていくと、新たな情報が見つかり、別のアセスメントが可能になります。
すると、対話の方向性も少し変わっていくでしょう。
そのプロセスの繰り返しです。

おイモは丁寧に掘り起こします。
強引に掘り下げ、おイモを傷つけてはいけません。
誤って地下茎を切ってしまうと、繋がっていたはずのおイモを見失ってしまいます。
お芋さんの了解を得て、丁寧に、優しく、信頼関係を築きます。
この人なら私のおイモに触れても大丈夫だという信頼関係です。
そのためには、掘る人(セラピスト)の人間性をお芋さん(クライエント)に伝えます。
掘る人の心も理解してもらいます。そのためには、掘る人自身が自分のおイモがどう地下茎で繋がっているかを理解します。
2)対象(クライエント)を理解するためには、セラピストが自分自身を深く理解していることが重要です。

通常、おイモは地面の中にいるものですから、わざわざ掘り起こす必要はありません。
しかし、おイモが腐ってくると腐敗臭が漂い、どうにも困ったことになるので、腐っているおイモを掘り起こします。
うまく掘り当てたところで、そのおイモをどうすれば良いのでしょうか?
外科手術のように切って取り除くのは良くありません。
地下茎も切れ、他のおイモとの繋がりが絶たれてしまいます。
じゃあどうしたら良いのでしょう?
陽の光に当てて乾かしましょう。
そうすれば、臭いは発しなくなります。
腐って干からびた部分は元に戻らないかもしれません。しかし、バイ菌は落ち着くので、臭いを発せず、他のお芋さんたちとも連携を保つことができます。
3)それまで自身で否定していた体験(喪失、トラウマ)や自尊心を低下させる体験(失敗、否定)を信頼する他者の元で開示し、肯定されることにより、自己否定から解放されます。