2019年10月4日
「古民家お片付け作戦」が開かれました。
始まる前は、まあ5-6人も来てくれれば良いかなと思ったら、驚きの40名近くの人たちが集まってくれました。
一階・二階合わせて建坪100坪ほどの広い家に古い家財道具がぎっしり詰まっています。それを二階から外に落とし、軽トラ5−6台のピストンで村の衛生センターまで分別して捨てに行きました。
人の力はすごいですね。人海戦術で予想をはるかに越える効率で片付いて行きました。
私)昨日はありがとうごさいました。あれほど沢山の人達が来てくれて感動です。
どうして皆さん来てくれたんでしょうかね?
参加した方々から、「今日は楽しかった」と言ってくれました。私は片付けとか嫌いなんですけど。
鈴木さん)人と関わるのが大好きなんですよ。落ち着いたら今度はお茶飲みに皆さんを招待してあげて下さい。
さきちゃん)みなさんがそれぞれの興味で楽しまれていたと思います。
移住したいひと、古民家リノベを検討しているひと、古道具が好きなひと、引きこもりの人、なんとなく楽しそうでから。働くイケメンを見に来た人、そして、田村さんが来てくれるのが嬉しくてサポートしたい。ほんとそれぞれの想いでいいなぁ〜と実感しました。
鈴木さんのおっしゃる通り、関わりたい。というのがみなさんに共通するところだと思います。完成もワクワク自分の事のようにたのしみにしていることと思います。
完成お披露目✨できるといいですね!
「私が来るから」という人も中にはいたかもしれませんが、多くの人は、どんな人が引っ越してくるのかも知らないで来てくれたんだと思います。
古民家には人を集め、癒すパワーがあるのか?
みな「古民家」であることに注目します。
私自身も「古民家」に惹かれました。
なぜなんでしょう?
きっかけは沼田のトライアルハウスにするはずだった古民家を見に行った時でした。
トライアルハウスとは、沼田市に移住を考えている都会の人が無料で泊めてくれる家です。そこは普通の広めの民家で、私も何度も泊めていただき、素敵な家でした。実はそことは別の古民家をトライアルハウスにする予定だったんですと、沼田市の移住コーディネータの小島さんが紹介してくれました。その古民家は耐震上問題あるということで結局はトライアルハウスにはなりませんでした。
古く、広く、大きな古民家。そこを見てから、自分でもなぜかわからないけど「古民家」に惹かれました。
なぜなのでしょう?
古いということ?
京都のお寺とか、古い家は気持ちがなごむのでしょうか?
昔の人たちの息吹を感じるからでしょうか?
あるいは、広いから?
二人で住むには、こんな広さは要りません。
しかし、広い家に住むと、気持ちも広がります。その広がりは周りの自然の環境にまで広がります。
沼田市の古民家を見てから、ここで何ができるだろう?
いろんなイメージを抱いてきました。
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(追加:私の古民家療法の概念は進化中なので、前に書いたのは消さないで追加していきます)
------ ↓↓10月14日(祝)↓↓ ------
2回目の「お片付け作戦」の日。私は早朝に成田空港に到着し、お昼過ぎから参加しました。2階ばかりでなく1階部分もほぼ古道具が持ち出され、すっかり空っぽになりました。さあ、これからリノベです。夕方、DEFの小島さんらとリノベプランについて打ち合わせしました。私の基本コンセプトをソフトウェアとハードウェアに分けてイメージしてみます。
ソフトウェア:
人は、安心して人と繋がりたいと願っています(安心の愛着)。
しかし、人と繋がるのは危険が伴います。うまく繋がれば幸せになりますが、繋がりたい人とうまく繋がれないと傷つき危険です。そうなると心が弱ってしまいます。
うまく繋がる場を提供したい。それが私の古民家療法です。
人や嫌な体験をすると、心のシャッターを降ろします。心のお店を閉じてしまったら、人と繋がれません。閉じたまま人と関わろうとしても、ガチャガチャお互いに痛いだけです。シャッターを開けないといけません。でも、シャッターは重いし、うまく開けるのは難儀です。無理に開けると壊れてしまいます。どうやったらうまく開けることができるか。支援者の心のシャッターが大切です。クライエントはまず支援者とうまく繋がる体験をとおして回復していきます。言葉で言えば「支援者との信頼関係」なんですが、これがなかなか難しく、深い経験と自己洞察が必要でs。
ハードウェア:
環境をどう整備したら良いか。これが古民家療法の極意です。
自然環境)都会を抜け、渋川から坂を登り、峠を超えて高山村に降りて行く時、いつもホットするんですよね。心が伸び伸びするというか。今朝も古民家に泊まり、時差ボケで朝早く起きてしまったので、中山盆地の道の駅まで往復1時間半歩いてみました。朝日が輝き、田園風景と山並みがマッチしています。ここにいるだけで心が癒されます。
涼しさ)古民家では、夏もエアコンはいらないでしょう。
暖かさ)冬の寒さは厳しいので、断熱確保はきっちりします。
火)私は火や水を見ると癒されます。薪ストーブと囲炉裏を入れたいと思います。
水)ウラに小さな川が流れ、竹やぶの向こうから水の音が聞こえます。裏庭も整備して水の側でのんびりしたいと思います。
空間)古民家の広さは心を広げてくれます。二階の元養蚕室は広い空間のまま残したいと思います。一部、天井を抜いて吹き抜けを作りたいと思います。家のまわりの空間もうまく使いたいと思います。
食)食べることは至福です。孤食ではなく、人と一緒に食べること。幸い、妻は食と栄養の専門家で、天然酵母パンを作りたいとか言ってます。みんなで食べ物を採り、調理して、一緒に食する。そのことが癒しに繋がるし、人と人とをうまく繋ぐ触媒になります。
二回の片付け隊のお昼は、近所の
農家民宿亀久保ゆっこさんが美味しい「農家料理」を振舞ってくれました。
---------ココロが落ち着く場所。気持ちが落ち着く場所を求めていました。
私は、心が落ち着かず、不安や悲しみ、怒りなどの痛みを持て余し、苦しんでいる人たちに関わってきました。そういう人たちの痛みを癒したい。
あまりに痛い時には薬(心=神経の痛み止め)で応急手当てはできるのですが、それはちょっと違うかなと思います。1960年代以降、向精神病薬の開発によって、それまで治らない「狂人・変人」として隔離の対象として扱われてきた人々が回復可能な治療対象となりました。薬の効果は絶大です。
でも、それだけではない、もっと根本から、人間性を回復したい。
それは可能なんだと思います。「狂った」ように見える人たちの人間性を信頼したい。
やっぱり人の力だと思うんです。
大切な人(愛着対象)から切り離された時、愛着を失った時、承認されなかった時、誰にも見守られず孤独な時、、、
人は心の危機に陥るのだと思います。
人と人のつながりを取り戻せる場所。
それが「古民家療法」かなと思います。
その場所にいると、心が落ち着く。
その場所で、大切な人同士が心を落ち着けて、つなぎ直す。
人が自然と集まる場所。
居るだけで癒される、「安心」できる場とは?
それが「古民家」なのでしょうか?
自然の中に囲まれ(自然との一体感を感じ)、
寒くも暑くもなく、風通しがよく、
夏にはウッドデッキや木陰の涼しさ、
冬には薪ストーブや囲炉裏の暖かさ。
夏合宿に参加した人の感想です。
「いつも、みんなでいたから家族になった、一体感があった、、、みんなでいつもいて、ご飯も分かち合ったからこそ、お互いに本音を言い合えて、自己内省に進んだ、、と思います。田村先生の焚き火とベーコンスモークも効果出していたと思います。」
居心地の良い場所だけではダメです。そこに言葉が、対話が生まれることが大切です。
ひとり孤独ではダメ。
人がいても、言葉がないと緊張します。お互いが伝わらないから。
自分を語り、それが相手に届き、受け止められる体験。
鎧の上から語ってもウソの言葉になります。鎧を脱ぎ、本当の自分を語れること。
そのためには、鎧を脱いだ人が見守っていることが大切です。
オープン・ダイアログの考え方も、
ベテルの家の「三度の飯よりミーティング」の考え方もそこに通じます。
人を結びつける共同作業があっても良いでしょう。
今回の「お片付け作戦」もそうでした。
自然体験(屋外のウッドデッキとかでのミーティング、散歩・ウォーキング・山登り、畑で野菜づくり、米作り、山菜採り、、、)
薪割り療法)釜炊きや薪ストーブの薪づくり。うちの息子たちはノコギリや斧の作業が大好きです。
食の共有:私はあまり自然食には興味がないのですが、食を通した共同作業も大切な役割を果たします。昔風の男が飲み食い、女が台所でてんてこ舞いということではなく、男女も子どももみんなで食事を作る。そして、会食する。
オープンハウス
リノベーションが完成した時には、お披露目したいと思います。2週間くらいの期間を定めて、自由に来て、自由に集まり、楽しんでもらえたらと思います。
お披露目だけでなく、週のうち日時を決めて、この期間はいつでもどうぞという時間を作っても良いかと思います。古民家目当てでも良いのですが、むしろ私の精神科医・家族療法家としての専門性を目当てに来てもらえたら。
そこで、自由に語り合います。ひとりでも良い、家族で来ても良い、他の人がいても良い。言葉が相手に届き、受け止められる環境であれば色々なメンバーであっても構わないと思います。偏見や、否定的評価や、批判や、対立ではありません。肯定的に受け止められ、共感される場所にします。言葉が相手に届かず分断した時、人は痛みを感じます。逆に、言葉がちゃんと届き、受け止められた時、人は癒されます。
週末セラピー
都会からわざわざ来てもらうのに、1時間のセッションではもったいない。土曜の午後に来てもらって2時間くらいのセッション。その晩はゆっくり古民家生活を楽しみ、日曜の午前にまた2時間のセッション。古民家セラピーで心をキレイにしてもらいます。
グループ・ミーティング
個人セラピーも、家族療法もやります。
さらに、グループの力を使ったグループ療法も積極的に取り入れていきたいと思います。
当事者性と支援者性の循環
従来の考え方では、この両者は分けるべきとされていました。当事者(クライエント)は問題や悩みを抱えている人でクライエント向けのセミナーを。
支援者はそういう人たちを支援する専門家で、支援者向けのセミナーをという具合に。
でも、本当はみな当事者であり、支援者です。自分の人生を生きる当事者であるからこそ、人を支援できます。そういう目線から、人々の悩みや問題もみんなで語り合ってきました。入り口は「当事者向け」「支援者向け」など色々あって良いと思いますが、結局は同じことなのです。
自分自身に向き合うワークショップ
今までは支援者向けとして二泊三日の「合宿」を行ってきました。これを支援者・当事者誰でもオープンにしたらどうなるでしょうか?
地元への貢献
片付け作戦中も、お隣さんのおじいさんが一体何事が起きてるんだんべ!!と、興味津々で見物していました。隣組やご近所の方々にはj引越しのご挨拶を村役場の方と一緒に済ませました。得体の知れないよそ者が入ってくるのではなく、地元の方々にとってもプラスになることがあればと思います。週末に泊まれる家。今のところ村内の宿泊施設はゆっこさんの農家民宿しかありません。近隣には水上温泉や四万温泉があります。村内に民泊してくれるところができれば。また、他にも移住してくる方への呼び水になれば。
民泊
来る人たちには泊まってもらいたいと思います。一緒に食と住を共有するのも大切な要素です。
しかし、古民家に民泊施設の認可を得た方が良いのか思案しています。ビジネスとして民泊をするわけではないですから。
榛名病院との連携
長谷川院長も「古民家療法」には興味を示してくれています。榛名病院の分院にするか。全部で200名ほどいる職員の研修とケアの場にするか。
料金体系:スライディングスケール
たくさん儲けるためのビジネスモデルではありません。子どもたちも(ほぼ)自立し、金銭的な豊かさは必要ありません。
人と関わり、人々の痛みを取り除き、不幸から少しでも幸せに変えることができれば、人々にとっても、私にとっても精神的な豊かさに繋がります。
と言いつつ、生活のお金は必要だし、料金をあまり安くすると、かえって良くないのではという考えもあります。
広尾では1時間3万円でやっていました。
「東京だから可能なんで、地方では無理でしょう!」とよく言われるけど、東京と地方で、それほど所得格差があるとも思えません。群馬にだってお金持ちはいます。むしろ、メンタルのケアにどれほどお金をかけるモチベーションがあるかという文化の問題(敷居の高さ)ではないかと思います。
そこで考えたのがスライディングスケールです。日本ではあまり馴染みがないけど、ロンドンのInstitute of Family Therapyではこの方法を採用していました。世帯年収を「少なめ、普通、お金持ち」の三段階くらいに分けて、松は3万、竹は2万、梅は1万といった具合に。そうすると、ごまかして安い方を選ぶのでは、あるいは逆に安い方を選ぶと良いサービスを得られないのではなどの思惑が出てきますが、それでも良いかなと思って。
自由診療
保健所に医療機関としての届けは出そうと思いますが、広尾と同じように保険診療は使わないでおこうと思います。医療行為として、診断書くらいは出しますが、処方箋は書きません。お薬が欲しい人は榛名病院といずみ医院で出します。
----- ↓↓2020年1月1日追加↓↓ ------
週末セラピー(東京と群馬を結ぶ臨床)
自然環境の癒し効果を信じたいと思います。
数年前から草津温泉の別荘で開いてきた2泊3日の夏合宿(グループ・スーパーヴィジョン)がそれを証明しています。
東京にお住いの方々も古民家を経験してもらい、癒されてお帰りいただきたいと思います。
セラピー)個人でも、家族でも。親だけでも、ご夫婦でも、親子一緒でも結構です。生活を共にする中で心を元気にしていきましょう。
スーパーヴィジョン)グループおよび個人のSVを行います。週日の単発のSV、週末のSV、2〜4泊程度の合宿を考えています。
ワークショップ)「古民家お片付け作戦」の続編です。古民家造りはまだまだ続きます。壁塗り、ウッドデッキ作り、ピザ窯作り、草花の造園、まき割り、、、などなど古民家づくりを体験していただきます。
子どもと家族のトレーニング
子ども・思春期の精神科臨床には薬物療法よりも心理社会的治療が重要です。
子ども)自然を活用したSocial Skill Training
親)Parent Training。親グループで。親子グループで。さまざまな手法が考えられます。
------ ↓↓2020年2月26日追記↓↓ ------
月1回開催している「子どもと家族の研修会」は、古民家療法のイメージにかなり近づいてきました。
研修会と古民家療法人々が集まり自由に語り合うといったソフトウェアとしての古民家療法のイメージは上記ブログに紹介したとおりです。
しかし、ハードウェア、つまり物理的空間としての古民家療法は違うんですよね。
村役場の会議室は閉ざされた空間として安全で暖かい部屋という意味では安心できるのかもしれませんが、窓は小さく、壁・床・天井などは古ぼけ、照明も薄暗く、あまりその場にずっと居たいかという雰囲気ではありません。
でも、古民家も窓は小さく、建物は古ぼけ、照明はそれほど明るくはありません。
それでも、その場に居たいと感じるような、場自体が醸し出す癒し効果って何なんでしょうか?
何軒か訪ねた古民家に佇んでいると、確かにそういう安心感が得られるんですね。
草津の別荘でもその感覚はありました。そこでは、自然との一体感を得られます。それが大切なのでしょうか?
まだよくわかりません。体験としては十分実感できるのですが、理屈としてはまだうまく言語化できません。