2019年05月08日
連休の初日(4月29日)と最終日(5月6日)に、群馬県高山村で「子どものメンタル研修会」の第一回・第二回を開催しました。どれほどの方々が集まるか心配でしたが、二回とも30名を超える方々が集まり、会場がいっぱいになりました。
以前から知っている方も何人かいましたが、ほとんどの方は初対面です。皆さんからの振り返りを拝見して、安心できるシステムの大切さを改めて実感しました。これは私が意図していたわけではなかったのですが、結果的にはそうなりました。そのことを参加者からのフィードバックを紹介しながら説明します。
知らない人の集まるところへ参加することに恐怖に近い緊張感を覚えるためにコワゴワ来ました。初めての場所は苦手でドキドキしながら参加させていただきました。自己紹介をしていただいたので少し気持ちが楽になりました。 前半は私の方から初回オリエンテーションとして「自己紹介、群馬で開催した理由、今後の研修会の進め方」などについてお話ししました。多分、この段階ではみなさん一体何が起きるんだろうか、どんな研修会になるんだろうかとわけが分からぬまま緊張していたと思います。
後半は、みなさんの自己紹介を兼ねて「この研修会で学びたいこと、期待すること」などを一言ずつ話してもらいました。おそらく、自分の番が回ってくるまでの時間が一番緊張したと思います。いったい何を話そうか(話すことなんか思いつかない!)、うまく話せるだろうか、みんなが分かってくれるだろうか、、、などと。
一人ひとり自分のことを話されて、それが聞けてよかった。今回は自分の子育てや自身を整理したくて参加させていただきました。対話形式での参加で、気持ちよく参加できました。先生とも近く、今後も話を聞いていきたいです。当事者として参加しましたが、こんなにたくさんのお仕事に情熱を持った方々いてとても嬉しかったです。というのも、今まで専門職の方に相談してもうまくいかないこともあったので。 みなさんも私も、一人ひとりのお話に耳を傾け、話を受け止めていきます。自分の話を伝え、参加者たちが受け止めてくれたことを実感すると、気持ちがとても楽になります。緊張感がほぐれ、楽に参加できるようになります。これが「安心システム」です。不安や緊張感ではなく、安心・安全な気持ちで居ることができる場、そこに居る人々が皆そのように感じることができる場です。
田村先生の学びに対する姿勢、受講者に対する姿勢に好感を持ちました。私も謙虚に真摯に向き合う人でありたいです。 私は、研修会の当日を始めるにあたり、意図して安心の場を作ろうとは思っていませんでした。しかし、結果的にはそれが実現しましたし、そのことは私自身、とても大切だと普段から実感しています。
あらゆる人間集団システム(研修会にかぎらず、職場、学校、さらには家族も)は安心システムにも、不安システムにもなり得ます。安心システムでは人が安らぎ、安心して実力を発揮して、求められる役割や機能を果たすことができます。職場であれば与えられた任務を効率よくこなし、学校であれば効率よく教え、教えられ実力を伸ばし、家族であれば日々の疲れを癒し、健康と元気を回復し、子どもが健やかに成長します。
不安システムはその逆に、求められる役割や機能を果たせなくなり、システムの機能不全に陥ります。
ではどうやったら安心システムを作れるのでしょうか。システムを支援する私にとってとても重要なテーマです。しかし、残念ながらそれを理性的に説明するのは困難です。なぜなら安心・不安というのは感覚であり、理屈では説明できません。ただ、言えることは、ひとりの人の安心・不安という感性は、システム内で他の人にそのまま伝播するということです。ある人の安心感(不安感)は言葉でも、言葉でなくても態度、眼差し、あるいは何も喋らなくても非言語的に(空気のように)伝わってしまいます。
システム内の安心要素が優勢だと、不安要素を凌駕して安心システムが出来上がります。
システム内の不安要素が優勢だと、安心要素を駆逐して不安システムが出来てしまいます。
どのようにして、システムを安心感で満たしていけるのでしょうか。
システムを構成する個々の要素が安心の状態でいることが大切です。
自分が安心しているか、不安に駆られているか。なかなか自分自身では分かりにくいものです。
そして、どのようにして、それをシステム内に伝えていくのでしょうか。多分、いろいろな伝え方があるのだと思います。
私は今回の研修会システムを作るリーダーでした。みなさん、私を目当てにやって来てくれました。みなさんが私を受け入れる準備はできています。初回の研修会を始めるにあたり、理性(研修会の目的や理論)ばかりでなく、私の感情を伝えました。なるべく率直に、私の深い気持ちを伝えようとしました。
その後、みなさんも深く、あるいはそれほど深くもなく、ご自身のお話を語ってくれました。30分ほどかけて一巡したのですが、その頃までには研修会システムは安全な場になりました(もちろん私の感じた主観ですが)。みなさんからのフィードバックを拝見して、多くの方々も同じように感じてくれたと思います。
システム内における安心とは、自分がシステムの一員になり、その場に継続的に居続け、実効性を発揮できるだろうという漠然とした肯定的な期待です。そのためには、自分の存在がシステム全体によって認められ、受け入れられることです。
まず私がみなさんを受け入れるモデルを示し、みなさんが私や仲間たちを受け入れます。そのようなプロセスの繰り返しによって、安心システムを作ります。