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当事者と支援者を結ぶ「家族療法コンサルテーション」

2019年01月28日
<新講座>当事者家族と支援者を結ぶ「家族療法コンサルテーション」
リフレクティング・チーム &スーパーヴィジョン

先日行った初回の講座の様子をお伝えします。
当事者と支援者が一緒に参加して学ぶことができるのだろうか?
私としても初めての試みなので、どうなるのかちょっとドキドキでした。
参加者は当事者6名と支援者3名の合計9名でした。
当事者はひきこもりの子どもを持つ親がほとんどでした。ご夫婦が揃って参加された方も二組いました。
支援者は、スクールカウンセラー、養護教諭、保健師、精神保健福祉士などでした。

参加者からのコメントをご紹介します。
まず当事者として参加した方々です。
自分のことは全く語る気はありませんでしたが、恥ずかしいことに感情が高ぶり涙ながらに語ってしまいました。みなさんがきちんと受け止めて下さり感謝します。みなさんの状況が違っても、子を想う親の気持ちは同じなのだと気づき安心しました。もしかしたら我が家は子ども本人を連れ出す前に、夫婦一緒に参加できるようになることが課題なのかなと感じました。ある参加者の方から「欲があるから不安になる」というお話にとても納得しました。とりあえず今を精一杯ありのままで、少しだけ先を向いて歩んでいくことが大事だと思いました。大切な家族であればこそ関わることに怖さを感じるということがよくわかりました。わが子に何もしてあげられない自分にがっかりしますが、親の不安を増大してはいけないと思いました。「不安はなくならない。持ったままでも活動始めた方が良い」と子どもに言ってあげたいです。当初、この講座に参加することが乗り気でありませんでしたが、参加して様々なアプローチ方法があるとわかったのは良かったと思います。
支援者の方からのコメントです。
今日はゆっくり話が聞けて良かったです。仕事でひきこもりの家族の方と関わることがあるのですが、こんなにゆっくりリラックスして聴いたのは初めてです。今日のお話の息子さんはお父さんのことがとても大切なんだと感じました。また参加したいと思います。支援者が発した言葉が、当事者の方々にどう伝わっているか、生の声がとても参考になりました。支援者だけの集まりでは出てこない発想もあり、次回も楽しみです。あっという間の2時間半でした。親が変わることで子どもも変わっていく様子を伺えました。家族療法の基本を学びたいと思いました。講座の様子をご紹介します。
まず、軽く皆さんで自己紹介してから、もし自分がケースを出すとしたらどんな話になるか、概略を紹介してもらいました。
皆さん、遠慮して出してくれる方がいるかなぁと心配でしたが、そんなことはありません。
支援者の方からは、関わっているカウンセリングの例について、
当事者の方は、自分の家族のことについて、
皆さん積極的にお話ししてくれました。
「今日は話さず、聞き役に徹したい」という方もいらっしゃいました。もちろんそれでOKです。

その後、ひとりの当事者の方にお願いして、その方のお話を皆さんで1時間半かけて十分に共有しました。
リフレクティング・プロセスは次の3段階からなります。これは「リフレクティング・チーム」という家族療法でよく用いられる方法を応用しています。

第一に、息子さんがひきこもっている親ごさんのお話を伺いました。私とその方との対話を参加者の皆さんに聞いてもらいます。
息子さんの様子ばかりでなく、親自身のお気持ちも話していただきました。
子どもを思う気持ちは同じだが、父親と母親で見方が異なり、夫婦がお互いのことを批判してしまいます。この方はご両親お二人で参加したのですが、父親・母親それぞれの思いの違いをよく話してくれました。

第二に、この話を聞いた参加者の方々から自由にお話ししていただきました。
支援者の方々からは、それぞれの見立てや、私だったらこのように支援するというお話が出ました。皆さんの支援しようとする視点は共通しているものの、具体的なお話は皆ちがいます。どちらが正しいというような正解・不正解はありません。様々な支援の考え方があるということを、当事者の方々は参考にされていました。
当事者の方々からは、お話に触発されたご自身の家族の話も展開されました。皆それぞれ事情は異なるのですが、共通点を見出し、自分の家だけの特殊な問題ではないのだということに気づかれていました。

第三に、事例を出していただいた当事者の方に、再びお話ししていただきました。皆さんのお話を聞いた感想や、触発されたことなどを話されました。

このようにして、自分の家族の問題として、なかなか他の人に伝えるチャンスがないお話を皆さんの前で語っていただき、その語りを参加者の皆さんにより引き継ぎ、そしてまた自分のところに立ち戻り、再び語っていただきます。
このようにして、ひとつの「語り」がたくさんの人により繰り返して語られることにより、語りの厚みが増してゆきます。
初めは緊張していたみなさんも、語りが深まるにつれリラックスされ、新しいことに気づかれてゆきました。