2018年09月11日
「ゼロか100か」という思考は、プライドが高く、完璧主義の人に見られます。
社会から撤退し、ひきこもっている人にもよく見られます。
それまで、自分の思い通りに、つまり100%でやってこれたことが、うまくいかなくなり、70%や60%に目減りします。
例えば、
成績が低下したり、友達とうまくかなくなったり、先生から厳しく叱られたりします。すると、自分は全否定されたように感じ、100が叶わないなら、ゼロにして全面撤退します。
このような考え方は問題視されますが、よく考えれば、誰でもその傾向は持っているものです。
私の主宰する
「父親の会」では、お互いが父親・夫としての体験をシェアしあいます。
ある男性が次のようなお話しをしてくれました。
私は夫婦でよく向き合っています。口論になり、お互いに言い合っていると、これ以上言ってしまうと妻を全否定することになってしまうな、とふと気づくことがあります。もっと言うと大変なことになるので、そこからは妻の言葉を切り返すことは一切やめて、ひたすら妻の話を聞くようにしています。この男性は、とても穏やかで、家族を愛し、配慮ある素敵な方です。
しかし、よく考えると、彼の中にも「ゼロか100か」思考を垣間見ることができます。
この話を伺い、子どものために親が出来る大切なことに気づきました。
妻を否定したくない。
というのは、一見妻に対する優しい配慮ですが、よく考えれば
妻から否定されたくない。
という夫自身の不安が投影されています。いわば、夫婦葛藤の全面撤退です。
夫婦が喧嘩をすれば、当然相手を傷つけます。
しかし、ご夫婦に信頼関係が多少とも成立していれば、どんなきつい言葉を投げかけたとしても「全否定」することはありえません。
ご夫婦で、安心して傷つけ合ってください。
人はそれぞれ個性を持ち、お互いが異なります。
男女であればなおさらでしょう。
お互いに真剣に向き合えば、当然意見は分かれます。それを相手に主張すれば、傷つけることになります。
傷つけることを怖がる必要はありません。
致命傷を与えてしまうことを心配してはいけません。心配したら、何も言えなくなってしまいます。
成長する若者たちは、傷つきを避けるために全面撤退するときがあります。
それがひきこもりの根本にある感覚です。
家族が、お互いを傷つけ合う姿を若者に見せてあげてください。
傷つき、100%が70%に目減りしても、自分は壊れない、家族は壊れない、大丈夫なんだという姿を若者に見せてあげてください。
そうすれば、若者は傷ついても立ち直ることができる ・修復できるんだという安心感を心に抱き、傷つくことを恐れなくなり、再び前に進めるようになります。
家族療法をやっている友人が、
「安心してガタガタ言い合える関係性」
が大切だと語っていました。
私も同じように感じます。