2018年05月25日
「五月病」とは、4月から新しい職場や学校に入り、あるいは転勤したり、学年が進みクラス替えがあり、5月に入っても新しい環境にうまく適応できません。そのために、やる気を失ったり、不眠・疲労感・食欲不振などの症状が出て、学校や職場に行きにくくなることです。
人は、始めの頃は心機一転がんばれるものです。4月中は報われなくても頑張れますが、5月の連休でしばらく学校や職場から離れ、連休明けに頑張ろうとしても、息切れしてしまいます。4月からスタートして5月に息切れするから「5月病」と呼ばれますが、これは5月に限ったことではなく、一年中いつでも起こり得ます。
医学的な病気ではなく俗語です。医学的な診断名としては「適応障害」になります。
生活環境の変化が原因ですが、そのまま長引くとうつ病や不登校、さらに長期化すると「ひきこもり」に発展することもあります。
上手く適応できない原因は、ストレスです。
新しい仕事や仲間が負担に感じることが直接のストレスですが、本人の内面を分析すると、自分はこうありたいという理想像と、そうはうまくいかないという現実像との乖離(ギャップ)がストレスとなります。
自分がこうありたいという理想像とは、たとえば、もっとがんばりたい、勉強や仕事の成果を出したい、周りの人に認められたい、友だちを作りたいといったことです。
「五月病」チェックリスト
次の項目で4つ以上当てはまる場合は「五月病」が疑われます。
何となくやる気が出ない朝起きても気分が晴れない学校(仕事)に行くのが億劫だ食欲があまりない自分はこのままで良いのだろうかと不安になる眠ろうとしてもよく寝付けないまわりの人は、まだ私のことをわかっていない眠りが浅く、夜中に目が覚めることがある以前と比べて疲れやすくなった自分は「ダメ人間」と思う今の学級(職場)は自分に合っていないと思う自分だけ取り残されている感じがする
家族用チェックリスト
家族から見て、次の4項目以上が当てはまると要注意です。
学校(職場)に行きはじめた頃より元気が落ちている朝起きてくると機嫌が良くない休みの日は寝ていたり、家にいて活動的でない朝、出かけるのが辛そう学校(職場)のことを尋ねても答えようとしない家族との会話が減った。学校・職場の人間関係がうまくいっていないようだ食事で食べる量が減った家でイライラして家族に当たることが増えたゲームやお酒などに逃げている表情が暗く、憂うつそうだ。もし「五月病」かなと思ったら、次のことを試して下さい。
ストレスの発散に心がけましょう。人は生活の中で常にストレスを受けています。それを溜め込まず、放出しましょう。そのために出来ることは、気分転換です。自分が好きなこと、楽しめることを積極的に行ってください。自分の気分転換のレパートリーを複数用意してください。それは人によって異なります。たとえば私の場合はスポーツ(身体を動かすこと)、好きな人とおしゃべりすること、カラオケで思いっきり歌うこと、お酒を飲むことなどです。お酒、買い物、ギャンブルなどがレパートリーの人は、やり過ぎに注意しましょう。いずれも、節度を守った適量ならストレス発散に効果的ですが、やり過ぎると依存症になり、かえって悪化します。睡眠を十分に確保してください。寝付きにくい場合は、あなたに合った寝付く方法を試しましょう。困った状況や気持ちを人に打ち明けてみましょう。秘密を守り、信頼できる人に伝えるだけで、気持ちがとても楽になります。考え方を転換しましょう。がんばり過ぎてはいけません。心に余裕を持ちましょう。焦らず、ゆっくり構えることが大切です。少し慣れ、まわりが見え始める1ヶ月後は、だれでも多かれ少なかれ困難を感じる時期です。その時期を通り越して、3ヶ月や半年たてば、必ず状況が変わってきます。あるいは人によっては1年、2年とかかるかもしれません。それくらいの時間的な余裕をもって、焦らず、臨みましょう。マジメになりすぎてはいけません。良い意味での「いい加減」さが大切です。100%を達成しようとせず、7割か8割で十分と捉えましょう。会社の上司や、試験担当の先生が120%を求めてきても、無視しましょう。理想とプライド(自分への期待)を下げましょう。いつまでも理想を追い求めてはいけません。等身大の自己像を作っていきましょう。これらのことは、五月病を未然に予防するためにも、すべての人に大切なことです。
次に、家族やまわりのひとが出来ることについて説明します。
当事者に声をかけましょう。悩んだり、落ち込んでいる人には、声をなかなか掛けづらいものです。しかし、思い切って声をかけてあげると、たとえ答えられなくても安心するものです。ただし、まわりの人(家族)も一緒になって悩んだり心配してはいけません。心に余裕を持って、当事者に接してあげて下さい。話をよく聞いて、置かれた状況やその気持ちを十分に理解してあげましょう。アドバイス(解決策)や叱咤激励は不要です。解決策はその人自身が時間をかけて見出すものです。先回りして解決してあげようとしない方が良いです。そのままを冷静に受け止めてあげましょう。