今年もあと1週間を残すまでになりました。
お歳暮・忘年会・年賀状・クリスマス・大掃除・松飾・お年玉・おせち料理・大晦日、、、年末年始の準備であわただしくもあります。
家族が楽しく集まり、新年を迎えおめでたいはずの年末年始ですが、楽しいことばかりではありません。
Aさんは夫の両親と二世帯同居しています。普段は距離を保ち、付かず離れすしているのですが、お正月は一緒に過ごさねばなりません。お姑さんの何気ない一言で傷つきます。お正月の過ごし方で、夫婦の意見が合いません。いつもケンカになってしまいます。
Bさんは年一回、お正月には実家に帰省します。年老いた老親と過ごすのはとても複雑な思いです。子どもの頃のことはあまり思い出したくありません。でも、弟夫婦に任せっきりで、弱ってきている親の姿を見るのは辛く、孫の顔も見せてあげられない自分が不甲斐なく思います。
Cさんの息子は家でひきこもっています。毎年、お正月には親族で集まるのですが、今回は息子に声をかけない方がよいのか、子どもを残して親だけが楽しい思いをして良いものか迷います。
Dさんは今年、親を亡くしました。毎年、正月には親戚で集まっていたのですが、今度の正月はそれもなさそうです。子どもは就職して、正月は友人と旅行に行くからと、家に戻ってきません。ひとりきりの正月になりそうです。
Eさんは、別居中の妻に連絡するべきか迷っています。普段は仕事が忙しくて引き延ばしにしているのですが、年末年始をひとりで過ごす妻のことを思うと可哀そうでなりません。でも、妻は私と会ってくれるか心配です。妻からは何の連絡もありません。
年末年始のホリデー・シーズンは、良い意味でも、悪い意味でも人に向き合い、自分自身に向き合う楽しい時期です。逆に言えば、人に向き合い、自分自身に向き合わねばならない辛い時期でもあります。
普段は会社や学校など、普段のルーチン・ワークの枠組みの中にるので、向き合っている余裕はありません。しかし年末年始は普段の仕事もお休み。家族のための特別な時間が流れます。
大切な人と向き合うことは、大きな喜びになる場合と、大きな痛みを伴う場合と両方あります。
普段は、向き合いたくない人は遠ざけていますが、年末年始は家族など親しい関係を変化させる良いチャンスでもあります。
Aさんは、まずご夫婦でお正月の過ごし方をよく相談しましょう。毎年のことですから、特に話し合わなければ例年どおりになってしまいます。Aさんの複雑な気持ちを夫にわかってもらいましょう。そして、夫の気持ちも理解しましょう。その上で、いつもとは少し違うお正月を過ごしてみてはいかがでしょうか。
Bさんは、実家に向かう前に、親と弟さんへ手紙を書いてみましょう。ご自身の率直な気持ちを伝えます。実家では例年と同じように、当たり障りなく過ごしましょう。そして、帰りの別れを告げるとき、手紙をそっと手渡します。「私がいなくなってから読んでね」と伝えましょう。
面と向かって伝えるより、時には手紙の方が気持ちをうまく伝えられることがあります。
Cさんは思い切って息子に声をかけてみましょう。できれば、普段は会わない親戚の人が居るところで話しかけると良いです。第三者が介在すると、普段の膠着した家族関係が変化することがあります。親とは話さなくても、祖父母やいとことは普通に話せることがよくあります。
自分と向き合うためには、まず人との関わりを絶ち、ひとりにならなければなりません。それは辛いことです。孤独を恐れ、避けなければ、孤独の中から深い意味が生まれてきます。
Dさんは、ひとりのお正月を楽しみましょう。
だれしも、一人ぼっちの寂しさを忌み嫌います。確かに辛いです。
しかし、その辛さを乗り越えると、孤独が人生の豊かさをもたらします。
ひとり旅に出かけてみましょう。慣れないと戸惑いますが、実行してみると案外楽しいものです。
ひとりの時間を大切に使いましょう。読書も良いでしょう。
これがお勧めの本です。
鴻上尚史>
齋藤>
山折>
森>
こんな本を読むと、落ち込んでしまう?
いいえ、そんなことはありません。今までとは異なる新たな世界が見えてきます。
Eさんは、別居中の奥さまのことを心配する前に、まずご自身のひとり正月を充実して過ごす計画を立てて下さい。Dさんと同じく、ひとりで楽しむ体制をまず作りましょう。それが整ったら、奥さまに連絡して下さい。Eさんご自身が元気でいれば、奥さまもEさんと会って元気になります。Eさん自身の寂しさや不安を、奥さまに投影しないようにしてください。
Aさんに二つ目のアドバイスです。年末年始の時期に、敢えてひとりの時間を作ってみましょう。この時期は家族との関わりを求められます。そこに流されず、夫やご両親に断り、半日でも構いません、家族から切り離された自分のための時間を作ってください。お正月ではない普段に自分の時間があったとしても、この時期にあえて家族に断り、家族よりも自分自身を優先することに意味があります。