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心の玉手箱を開けよう!

2016年12月21日
人は、誰でも心の中に玉手箱を持っています。
ギリシャ神話風に言えば「パンドラの箱」です。
そこにはたくさんの気持ちが詰まっています。
しかし、それは開けてはいけません。
なぜなら、人間世界のさまざまな「災い」が詰まっているからです。

悲しみ・恨み・病気・死・盗み・裏切り・不安・争い・後悔 ・・・・

不用意に開けると、これらが勝手に飛び出してきて、収拾がつかなくなります。
とても平穏に生活できません。

箱は無理に開けなくて良いのだと思います。
人のプライバシーは尊重されます。
人に見せられる良い面は見せて、見せたくない面は隠します。
自分自身に対しても同様です。
自分で認めたくないイヤな部分、辛い・汚い部分は、自分自身の意識からも隠します。
それで良いじゃないですか。玉手箱は棺桶まで持って行くことだってできるかもしれません。

しかし、それは真に人間らしい生き方ではないと思います。
人に対して、そして何よりも自分自身に対して正直でいたい。
誰しもそう思うでしょう。

別に、そんなきれいごとでなくても良いのです。
イヤだけど心の玉手箱を開けなくてはならないときのことを考えてみましょう。

不安や恐怖、悲しみなどの辛い出来事は、感じるのを避けたいので、玉手箱の中に放り込んでしまっておきます。
量が少なければ何とかなるのですが、ごみがたくさんたまってくると、玉手箱からあふれてきます。
すると、大きな箱に取り替えます。
心のスペースを占領してしまいます。
玉手箱は基本的に、心として使えないので、それが大きくなってしまうと、心をうまく使えなくなります。とりわけ、感情が使えません。

理性は構いません。理屈で進める仕事や家事などは大丈夫です。
しかし、感性が機能不全に陥ります。
たとえば、喜びの感情を使えなくなり、喜びや楽しみを感じられなくなります。
自分の気持ちをはっきり相手に伝えられなくなります。
無理に伝えようとすると、イライラや怒りとなって伝わってしまいます。
相手の気持ちを受け取れず、怒りや無視の防衛線を張り巡らせます。
その結果、家族関係がうまく切り盛りできなくなります。

家族は気持ちの繋がりで成り立っています。
夫婦でも、親子でも、言うべきことは自信をもって相手にはっきり伝えます。
相手の気持ちが自分にとって不快であっても、そのために巻き起こる心配や恐怖に持ちこたえ、受け取ります。
そして、協力して、家族の困難を乗り越えます。

家族が平穏無事の時は、無理して玉手箱の中を覗く必要はありません。
しかし、家族が協力して乗り越えるべき課題が出てきたら、あえて、危険を冒しても、パンパンになった玉手箱を大掃除しなくてはなりません。

どのようにして玉手箱を開けることが出来るのでしょうか。
それは、自分自身との闘いです。

自分の心の片隅を照らしてみましょう。
今まで見たくない、考えたくないイヤな出来事や体験はありますか?
基本的に見たくないのですから、探そうとしてもなかなか出てきません。
でも、実は心の奥底に隠れていたりします。

それを見出したら、表現してみましょう。
自分でそれを認めます。
ひとりで日記に書いてみても良いでしょう。
「日記さん」という相手と対話します。

もっと効果が高いのは、その気持ちを一緒に受け止めてくれる人を見つけ出し、一緒に開けてみます。
辛い気持ちを丁寧に取り上げ、確認して、認め印を与えましょう。
そうすれば、その気持ちは整理されたことになります。

パンドラの箱から、さまざまな「災い」が飛び出した後、一番最後に箱の底から出てくるのは「希望」です。
人は、誰でも心の一番奥底に、希望と自信を持っています。
しかし、その上にたくさんのゴミがたまると、希望と自信を見失います。
その結果、失望と自信喪失しか得ることが出来ません。

希望を回復すれば、
何気ない毎日の生活を「楽しい」と感じるようになります。
大切な人に、大切なメッセージを自信をもって伝えることが出来ます。
人から与えられた傷を、自分の力で回復させることができます。

多くの方々が、パンパンに詰まった玉手箱を、私のクリニックに持参されます。
当人たちは、そのことに気づいていませんが、私から見ればよくわかります。
そして、丁寧に、そっと優しく箱のふたを開けて、少しずつ整理していきます。
すると、辛さから解放され、心の健康を取り戻されていきます。

どうぞ、みなさんも勇気を出して、心の玉手箱を開けてみましょう!