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親は、子どもをわかってあげようとします。
親は子どもに愛情を注ぎ、子どものことすべてを理解します。それはとても大切なことです。特に子どもが幼い頃は、親の愛情が不可欠で、豊かな心を持った子どもに育っていきます。親は子どもの一番の共感者・味方でなければなりません。
しかし、思春期以降に同じことをやってはいけません。
子どもは親の保護を抜け出し、まわりが理解してくれないソトの世界に自立してゆきます。
しかし、そう一筋縄ではいきません。スッと自らどんどん自立していく子もいれば、なかなか自立できない子もいます。ソトの世界は不安です。ウチの世界に留まりたいと思ったりします。
お母さん、僕のことを100%わかってください。
そういう言い方はしないでしょうが、心の中はそういう気持ちです。
思春期以降、親は子どものことを100%わかろうとしてはいけません。(まあ、そんなことできませんけど)。でも、中には一生懸命100%わかろうと努力している親もいます。それをしてはいけません。
親が子どもをわからない部分をだんだんと増やしていってあげて下さい。
9割しかわからないよ。8割しかわからないよ。7割しかわからないよ。
そうすれば、子どもは親がわからない部分を、自分の力でなんとかしなければなりません。それが自立です。
1割自立して、2割自立して、3割自立して、、、
親が徐々に手を放してゆけば、子どもは自分自身の手を使えるようになります。
しかし、実際にはA君のようなケースが多く見られます。
子どもが「お母さん、ちゃんと僕のことをわかって」と求めると、親は子どもに負けてしまいます。
なぜ負けてしまうのでしょう?
いくつかの要因があります。
★親の愛情が大きすぎる場合。
特に「守る愛」が強すぎて、「放す愛」が少ない場合です。親は全力を注いで子どもを守ろうとします。だから子どもの言葉を裏切ることができません。
★親の心配が強すぎる場合。
この子は失敗するのでは、ダメになってしまうのでは、、、という不安が先行してしまうと、子どもに「ノー」と言えません。親の不安が子どもにも乗り移り、子ども自身も前に進むことができなくなってしまいます。
専門家も親の不安に加担しています。
★「子どもを共感して受け入れましょう」という神話
人は他者から全面的に受け入れられ、承認を受けて、自信を得ることができます。それは心理学の基本なので、カウンセラーはこのことを強調します。もちろん子どもをしっかり理解することは大切なのですが、子どもを押し出す勇気も必要です。
★病気や障害という診断
つまり普通の人に比べて弱さを持っているという前提を作ってしまいます。そうすれば、無理したら潰れるから、あまり無理しないようにと、結果的に「守る愛」を親に伝えることになってしまいます。
たとえ、どんな病気や障害を抱えていても、人は弱さと強さの両面を持っています。
強さしか持っていない人はいない、ということは理解しやすいのですが、
弱さしか持っていない人はいない、ということが自分の子どもになると、なかなか理解できません。
子どもの弱い部分はしっかり守ってあげましょう。
子どもの強い部分には、しっかり前に押し出してあげましょう。無理をさせてあげましょう。
親は、子どもの弱さの背後に隠された、強さの部分をしっかり見出してあげなくてはなりません。