2015年03月01日
【つぶやき】からのご相談です。
70代の両親について相談先を探しています。母はもともと発達障害があったと思われ、依存心が強く、自己中心的で被害妄想があり、私(長女40代)も子供の頃から気持ちを理解してもらえたことがあまりありません。私が父と仲良くすることを嫌悪し阻止するので、思うように父と関われませんでした。
父と私は母をカウンセリングに連れて行きたくこれまで何度も努力しましたが、母が激高することを心配する親類の協力を得られず、父が奮起して一人でカウンセリングに行ってみたことがありましたが「本人を連れて来なければ話にならない」との対応で父は懲りてしまいました。
トラブルの多い母には家族も親類も腫物に障るようその場凌ぎの対応でここまできましたが、最近父がステージ4の癌と判り闘病が始まりました。当初は献身的に向き合っていた母ですが、過剰に頑張ってしまうためストレスで被害妄想が酷くなり、父への暴言が始まり看護できそうにない状態で、さすがに父も家を出たいと言っております。
このようなケースですが、田村先生でしたらどのように対応していただけますか?
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お返事が遅くなり、失礼いたしました。
お母さまの対応と、お父さまの闘病とが重なり、とてもストレスの高い状況とお察しいたします。
ふたつの方法が考えられます。
1)本人を連れて来ないで解決を図る。
娘さんであるあなたが、もし可能であればお父さまもご一緒に、いらしていただき、どのようにお母さまと関わることができるか相談します。
もともと性格に問題のあるお母さまと家族との関係性が、長い間に悪循環のスパイラルに陥っている可能性があります。その当事者ですと見えないのですが、専門家が客観的な立場から家族のやりとりを伺い、悪循環を外すためのツボを見つけ出します。そのツボは、多分、今まで実行することのなかった想定外の関わり方になると思います。それが、具体的にどのような関わり方かということは、これだけの情報からはわかりません。もう少しお話を丁寧に伺う中で見えてきます。
2)お母さんの問題ではなく、別の問題にすり替える。
たとえば、「お父さんの看病の問題」として、お母さまを連れていらっしゃるという方法です。
お母さまの意識の中ではご自身が問題であるとは全く認識せず、まわりの人が問題であると認識していらっしゃるでしょう。その「困り感」に沿った形で相談に入ります。たとえば、お母さんにとって、「夫が自分の言うことを聞かない、夫がすぐ怒る、夫が妻を無視する・冷たくする」などの困り感をお持ちでしたら、そのような「困った夫の問題」をどうしたらよいかという視点から相談に誘います。自分のことでは相談する気持ちがなくても、「問題の夫」という構造であれば相談にいらっしゃるかもしれません。
もし相談にいらっしゃっても、「実は、あなたが問題ですね」という流れには持って行きません。あくまで「夫の問題」を相談していく中で、お母さま自身が抱える葛藤や感情を表出されて、他者に支えられているという感覚を抱くことができれば、気持ちが落ち着きます。
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以上、ふたつの方法をご紹介しました。
いずれの方法でも、お母さまの性格自体を変えることはおそらく無理でしょう。しかし、このようにして、家族関係の悪循環を緩和することは可能です。それは、お母さまご自身ばかりでなく、癌と闘うお父さまにとっても、とても重要なことは言うまでもありません。