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ひきこもり脱出講座の振り返り

2014年10月08日

前回の「ひきこもり脱出講座」に参加した方々の感想を紹介します。
今までにもひきこもりの家族会などに参加したことがありましたが、今回のように少人数で、先生が中心になって話があり、その後に参加者の現状報告に対してディスカッションするという形式は初めてでした。先生と、参加したみなさんのお話しを通じて共感するところもあり大変参考になりました。先生のお話と、参加者の方の熱い思いと言葉で、まだ諦めないで子どもに向き合っていこう、子どもを信頼していこうと勇気をいただきました。自分のありのままの気持ちをそのまま表現して、相手の方のありのままの気持ちをそのまま受け取る。講座の話し合いのそういう対等な言葉のキャッチボールの中で、自然に良いものが生まれる。そういう会話を子どもともできたら良いなあと思いました。今まで、子どもを傷つけるリスクを恐れて、子どもを「腫れ物」のように関わっていました。これではいけないと思いつつも、どうすることもできなかったのですが、これからは状況をみて、親からのメッセージを伝えていきたいと思います。親からメッセージを伝えるということは、親として一番しなくてはいけないことなのに、自分は子どもに向き合ってこなかったと思いました。いろいろな気づきがあり、良かったと思います。2時間の講座を、10名程度の同じメンバーが、3週間おきに6回集まりました。
この講座は一般的な講座とは異なります。講師である私から一方的に知識やアドバイスをお伝えするのではなく、各参加者にたくさん語ってもらい、お互いに話し合う中で解決策を見出していきます。その中で、とってつけたような一般論としての解決策ではなく、各家庭の事情に合った、一番ベストな解決策を見出します。

6回を通じて、みなさん熱心に語り合いました。子どものひきこもりが長引いてくると、ふだん家族どうしで話し合っても先が見えないので、話し合ったり、考えることをやめてしまいます。しかし、講座では、みなさんと共にたくさん話し合いました。ひとりの方が話せば、それに触発されてほかの方も話し出します。お互いの話に耳を傾け、私からも多くのひきこもりの家族に関わってきた経験を語りました。どのように相手(子どもや夫婦)に向き合ったらよいのかを深めていくと、親としての自分自身に向き合えるようになります。

みなさん、親として、子どもに働きかけて、メッセージを伝えたいと願っています。
しかし、振り返って話し合ってみると、ちゃんと子どもに働きかけていません。ちゃんと親からのメッセージを伝えていません。そこには、家族をお互いに遠ざける壁があります。
今回、みなさんと話し合う中で見えてきた壁は次のようなものです。

子どもが傷つくかもしれないという壁
この子は幼いころから繊細で、いじめられたり嫌な思いをしてきた。だから、親が強く言うと、傷つき、もっと悪くなってしまうかもしれないという不安を抱きます。

暴力を振るうかもしれないという壁
以前、子どもに働きかけたら、イライラしたり怒って、物を投げたり、ドアをバタンと強く閉めたり、壁を強く蹴とばして穴をあけたことがありました。また言ったら同じようなことが起きたり、本当の暴力沙汰になるのかと心配します。

うちは特殊だから、、、という壁
うちの子どもは小さいころから弱かったのです。病気を持っていました。発達障害と診断されました。だから普通のお子さんとは違うので、、、先生がおっしゃるような普通の対応はうちでは無理なんですという壁です。

親子に十分な信頼関係が築かれていないという壁
これは、特にお父さんに多いのですが、今まであまり子どもや家族に関わってきませんでした。急に関わったり話しかけても、子どもは戸惑うだけで親のメッセージが素通りしてしまって伝わりません、、、と親は戸惑います。

「親が何か言ったら押し付けになるから、何も言わない」という壁
親から何かを言われるのではなくて、自分で考えて、自分で動き出さなければ意味がないんだ。親の価値観を押し付けてはいけない。子どもが自分から気づいて動き出さねばダメだと考えます。このように考えるのは、母親よりも父親に多くみられます。


会話が続かない壁
親が語りかけても、子どもは何も返事をしません。暖簾に腕押しで、話しかける気力を失ってしまいます。無理にもっと話しかけようとすると、避けて自分の部屋に閉じこもってしまので、それ以上は言えません。今はやっと居間にいることができるようになったので、気に障るような避け、テレビ番組や日常の差しさわりのない話だけ軽く交わしています。

自分は親が嫌いだったという壁
親も昔、自分の親から話しかけられることが嫌でした。だから、親が話しかけるのもきっと嫌がっていると思います。嫌がっているのを無理に話しかけても仕方ありません。

これらの壁はどこにあるのでしょうか?
子どもの心の中にあるだけでなく、親の心の中にあります。
参加者が持っている壁をお互いに紹介する中で、どうやったらその壁を安全に乗り越えられるのか見出すことができました。